眼瞼下垂の手術後に、切開した部分とまつ毛の間の皮膚がしびれたような感覚障害がでることがあります。
上眼瞼の感覚は、眉毛下縁から表面に出てくる滑車上神経によって支配されています。この滑車上神経は頭側(眉毛側)から降りてきて、眼瞼に分布するのですが、まつ毛付近に到達する部分では、細く細かくなっているので、神経の1本1本を肉眼で確認することはできません。
眼瞼下垂の皮膚切開の方向は横切開ですので、必ずこの細かい神経末端は切断されてしまいます。その結果、眼瞼下垂の手術後は感覚障害が現れます。
しかし、このしびれは約3ヶ月ほどで戻ってきます。早い人では1ヶ月ほどで、遅い人でも6ヶ月もすれば、ほぼ元通りの感覚となります。
太い神経が切られた場合は、このように完全には回復せずに、後遺症として、しびれがずっと残ることがありますが、切られる神経が微小なので、ほぼ完全に回復します。
術後このしびれのために、生活上困ることはないのですが、まつ毛パーマをするときに、もし熱いロットを使っていてそれが皮膚についても、しびれているので熱さを感じず、やけどになってしまいます。それほど熱いロットを使うことはないと思いますが、施術する人には伝えてください。
それ以外でも、自分でまつ毛をカールする場合なども、熱いものが触れる可能性があるときには注意が必要です。
また、いったん切られた神経が回復する過程で、一時的に逆に過敏になって、触れるだけでも痛みを感じる時期があります。この過敏な感覚を、チネルサインと呼びます。神経が回復する過程での、一時的な神経過敏ですので、これも心配はいりません。